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  • ザイログZ80伝説

    ザイログのマイクロプロセッサZ80の開発史と、著者自作のZ80搭載ワンボードマイコンの実装とソフトウェア移植についての解説。

    Z80の開発史部分は面白かったが、後半の著者オリジナルのワンボードマイコン関連の部分は興味のない人には退屈かな。
    あと、Z80のアーキテクチャや命令セットに関する記述がほぼないのも残念。というか、そこら辺の記述を期待していたので個人的には期待外れの内容だった。

    【第1章】伝説の誕生
    三人の技術者
    ギネス級の製品寿命を誇るマイクロプロセッサ
    フェデリコ・ファジン─研究者と技術者の顔を持つ経営者
    嶋正利─マイクロプロセッサの創造主
    4004─プログラムにしたがって動くICの芽生え
    8008─意外な利益をもたらした中継ぎのエース
    8080─真に汎用的なマイクロプロセッサの原点
    ラルフ・アンガーマン─ネットワークを夢見る自由人
    単一5V電源で動くNMOSが表面化させたインテルの本音
    アンガーマンアソシエイツの設立

    事業の始動
    製品の大枠を決定して開発を開始
    きわめて順調だった開発の工程
    商業生産の委託先を巡るひと悶着で速度が向上
    8080と比較して劣るところがひとつもないZ80の機能
    セカンドソース契約とリバースエンジニアリング対策
    半導体工場を建設してファブレスの立場を脱却
    思い入れが強すぎて発売が遅れたと噂されるSIO
    製品を売るための製品
    あり余る開発力が完成した汎用コンピュータ

    市場の反応
    立ち上がりを支えたエクソンと関連会社
    MITSが8080で動く個人向けコンピュータAltairを発売
    クロメムコがAltairのボード類を発売
    Altairに挿さるZ80のCPUボードが登場
    アップルが6502で動くパソコンApple IIを発売
    タンディがZ80で動くパソコンTRS-80を発売
    徹底して安上がりに設計されたTRS-80
    Z80と周辺ICの一式で構成されたTRS-80 Model II
    8080にかわってZ80と6502の需要が急伸
    Z80の心強い味方となったCP/M
    ザイログの最高に幸福な時代

    【第2章】伝説の真実
    Z80 と周辺IC
    自作派のマニアとZ80ファミリーの距離
    シングルボードコンピュータSBCZ80の構想
    クロック生成回路とリセット回路
    入出力アドレスの仕様と周辺ICの接続
    割り込みコントローラなしに実現する各種の割り込み
    SIOで組み立てるシリアルのインタフェース
    メモリアドレスの仕様とROMの接続
    1970年代の感覚では贅沢すぎるSRAM

    DRAM の制御
    RAMに使われる記憶素子の変遷
    欠陥があると明示して販売された最初の製品
    初期段階のアナログ回路に近い電気的特性
    フルデコードにかわるマルチプレックスの登場
    マイクロプロセッサに最適なデータ幅4ビットの製品
    マルチプレックスの行/列選択回路と遅延回路
    セル構成とリフレッシュ用の行アドレス
    バスの仕様とDRAMの接続
    SBCZ80の標準的な構成
    SBCZ80の倍速化

    BASIC の移植136
    パソコン以前からマニアが趣味で使っていたBASIC
    ビル・ゲイツとポール・アレンのBASIC
    Altair BASICの4K版と8K版と拡張版
    海賊版Altair BASICの流布騒動
    PCCの機関誌から生まれたタイニーBASIC
    マイクロソフトがBASICの直販を開始
    NASCOM2のマイクロソフトBASIC
    自作派のマニアに愛用されるグラントBASIC
    スタートアップルーチンの成り立ち
    初期化の過程でやるべき処理
    端末からのバッファリング付き1文字入力
    端末への1文字出力
    SBCZ80対応グラントBASICの動作確認
    マイクロソフトが敬遠したZ80の独自命令
    Z80の独自命令を8080の命令に書き戻す実験

    【第3章】伝説の系譜
    日本のパソコン
    日本の各社がZ80でパソコン市場に参入
    PC-8001のマイクロプロセッサ
    PC-8001の表示回路
    PC-8001のカセットテープとシリアル
    PC-8001のメモリとBASIC
    PC-8001のBASICを巡る出来事
    Z80をパソコンの主流に押し上げたMZ-80C
    Z80の製品寿命を引き延ばしたMSX

    Z8000 の誕生
    Z80とオーバーラップして開発が始まったZ8000
    論理設計の段階で命令体系が迷走
    セグメント版にノンセグメント版の
    Z8000の完成と周辺ICの遅延
    16ビットの市場に登場したライバルたち
    マイクロプロセッサで最初にUNIXを動かしたZ8002
    Z8001とZEUSを装備したミニコンが完成
    ザイログを困らせたUNIXワークステーション
    ザイログを喜ばせたオリベッティのパソコン
    シングルボードコンピュータSBCZ8002の構想
    システムモードと通常モード
    偶数/奇数アドレスとバイト/ワードアクセス
    Z80と互換性のない制御信号
    2系統あるZ8000の周辺IC
    SBCZ8002の簡易モニタをC言語で書く
    簡易モニタでLEDを点滅させる

    Z8 と新体制
    ザイログのもっとも困難な時代
    エクソンの子会社となるも夢の種を残す
    Z8000の構造を8ビットに縮小した恰好のZ8
    シングルボードコンピュータSBCZ8の構想
    マイコンらしからぬ洗練されたハードウェア
    最先端のCPUも顔負けのレジスタ構成
    SBCZ8のタイニーBASICでLEDを点滅させる
    Z80が起こした奇跡で蘇ったザイログ