ザイログのマイクロプロセッサZ80の開発史と、著者自作のZ80搭載ワンボードマイコンの実装とソフトウェア移植についての解説。
タイトル: | ザイログZ80伝説 |
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出版種別: | 書籍 |
著者: | 鈴木哲哉 |
出版社: | ラトルズ |
発行日: | 2020-08-31 |
購入日: | 2025-03-07 |
読了日: | 2025-03-07 |
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ザイログのマイクロプロセッサZ80の開発史と、著者自作のZ80搭載ワンボードマイコンの実装とソフトウェア移植についての解説。
Z80の開発史部分は面白かったが、後半の著者オリジナルのワンボードマイコン関連の部分は興味のない人には退屈かな。
あと、Z80のアーキテクチャや命令セットに関する記述がほぼないのも残念。というか、そこら辺の記述を期待していたので個人的には期待外れの内容だった。
【第1章】伝説の誕生
三人の技術者
ギネス級の製品寿命を誇るマイクロプロセッサ
フェデリコ・ファジン─研究者と技術者の顔を持つ経営者
嶋正利─マイクロプロセッサの創造主
4004─プログラムにしたがって動くICの芽生え
8008─意外な利益をもたらした中継ぎのエース
8080─真に汎用的なマイクロプロセッサの原点
ラルフ・アンガーマン─ネットワークを夢見る自由人
単一5V電源で動くNMOSが表面化させたインテルの本音
アンガーマンアソシエイツの設立
事業の始動
製品の大枠を決定して開発を開始
きわめて順調だった開発の工程
商業生産の委託先を巡るひと悶着で速度が向上
8080と比較して劣るところがひとつもないZ80の機能
セカンドソース契約とリバースエンジニアリング対策
半導体工場を建設してファブレスの立場を脱却
思い入れが強すぎて発売が遅れたと噂されるSIO
製品を売るための製品
あり余る開発力が完成した汎用コンピュータ
市場の反応
立ち上がりを支えたエクソンと関連会社
MITSが8080で動く個人向けコンピュータAltairを発売
クロメムコがAltairのボード類を発売
Altairに挿さるZ80のCPUボードが登場
アップルが6502で動くパソコンApple IIを発売
タンディがZ80で動くパソコンTRS-80を発売
徹底して安上がりに設計されたTRS-80
Z80と周辺ICの一式で構成されたTRS-80 Model II
8080にかわってZ80と6502の需要が急伸
Z80の心強い味方となったCP/M
ザイログの最高に幸福な時代
【第2章】伝説の真実
Z80 と周辺IC
自作派のマニアとZ80ファミリーの距離
シングルボードコンピュータSBCZ80の構想
クロック生成回路とリセット回路
入出力アドレスの仕様と周辺ICの接続
割り込みコントローラなしに実現する各種の割り込み
SIOで組み立てるシリアルのインタフェース
メモリアドレスの仕様とROMの接続
1970年代の感覚では贅沢すぎるSRAM
DRAM の制御
RAMに使われる記憶素子の変遷
欠陥があると明示して販売された最初の製品
初期段階のアナログ回路に近い電気的特性
フルデコードにかわるマルチプレックスの登場
マイクロプロセッサに最適なデータ幅4ビットの製品
マルチプレックスの行/列選択回路と遅延回路
セル構成とリフレッシュ用の行アドレス
バスの仕様とDRAMの接続
SBCZ80の標準的な構成
SBCZ80の倍速化
BASIC の移植136
パソコン以前からマニアが趣味で使っていたBASIC
ビル・ゲイツとポール・アレンのBASIC
Altair BASICの4K版と8K版と拡張版
海賊版Altair BASICの流布騒動
PCCの機関誌から生まれたタイニーBASIC
マイクロソフトがBASICの直販を開始
NASCOM2のマイクロソフトBASIC
自作派のマニアに愛用されるグラントBASIC
スタートアップルーチンの成り立ち
初期化の過程でやるべき処理
端末からのバッファリング付き1文字入力
端末への1文字出力
SBCZ80対応グラントBASICの動作確認
マイクロソフトが敬遠したZ80の独自命令
Z80の独自命令を8080の命令に書き戻す実験
【第3章】伝説の系譜
日本のパソコン
日本の各社がZ80でパソコン市場に参入
PC-8001のマイクロプロセッサ
PC-8001の表示回路
PC-8001のカセットテープとシリアル
PC-8001のメモリとBASIC
PC-8001のBASICを巡る出来事
Z80をパソコンの主流に押し上げたMZ-80C
Z80の製品寿命を引き延ばしたMSX
Z8000 の誕生
Z80とオーバーラップして開発が始まったZ8000
論理設計の段階で命令体系が迷走
セグメント版にノンセグメント版の
Z8000の完成と周辺ICの遅延
16ビットの市場に登場したライバルたち
マイクロプロセッサで最初にUNIXを動かしたZ8002
Z8001とZEUSを装備したミニコンが完成
ザイログを困らせたUNIXワークステーション
ザイログを喜ばせたオリベッティのパソコン
シングルボードコンピュータSBCZ8002の構想
システムモードと通常モード
偶数/奇数アドレスとバイト/ワードアクセス
Z80と互換性のない制御信号
2系統あるZ8000の周辺IC
SBCZ8002の簡易モニタをC言語で書く
簡易モニタでLEDを点滅させる
Z8 と新体制
ザイログのもっとも困難な時代
エクソンの子会社となるも夢の種を残す
Z8000の構造を8ビットに縮小した恰好のZ8
シングルボードコンピュータSBCZ8の構想
マイコンらしからぬ洗練されたハードウェア
最先端のCPUも顔負けのレジスタ構成
SBCZ8のタイニーBASICでLEDを点滅させる
Z80が起こした奇跡で蘇ったザイログ