ofellabuta

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    図書館で借りて読了。

    著者は、学生時代に友人高岩和雄の紹介で和雄の異母弟玄の家庭教師をすることになり、高岩家に出入りするようになり、後、高岩家で出会った檀一雄に師事するも戦時中軍属として南方に出征することになり作家への道を断念、戦後は石油開発関連の事業に携わった人。

    戦前、戦中に高岩家でのトミとその家族との交流を中心として回想録・私小説であるが、全編を通して貫かれている、二十以上も歳の離れた友人の母に対する恋慕の情が現代的な価値観からすると気持ち悪い。この感じは以前によんだ半澤誠二の「大正の雑誌記者」における著者である半澤の同僚であった波多野秋子への情念に通じる気持ち悪さがある。

    という感じなので、この本で描かれている高岩とみが実像を忠実に描いているのかちょっと擬今を感じずにはいられないが、それを差し引いてももまぁ魅力的な女性だっただろう。どんな女性だったか見てみたいが残念ながら写真の掲載はない。

    序章 因縁の糸
    第一章 平尾の賑わい
    第二章 母子のきずな…
    第三章 クリスチャンの群像
    第四章 大陸彷徨
    第五章 檀の結婚
    第六章 冬休みの上京
    第七章 長尾良と矢山哲治
    第八章 歌別のとき
    終章 三十年ぶりの再会
    あとがき