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    大正から昭和初期にかけてに博文館の「新青年」意外の雑誌などに発表された怪奇・恐怖小説を集めたアンソロジー。

    「新青年」以外からとるという縛りゆえか、角田喜久雄と「豹の眼」の高垣眸を除けば(エロ関係の読み物で高田義一郎は知っていたが)知らない作家ばかりだが、逆にそれがこのアンソロジーをバラエティに富んだものにしている。

    収録作の中では、高田義一郎の「疾病の脅威」が後の赤塚不二夫を思わせるグロテスクなコメディで印象的。米村正一の「恐怖鬼侫魔倶楽部奇譚」は日本におけるスナッフ映画を題材にした先駆的な作品。岩佐東一郎「死亡放送」は明日死亡する予定の人物のリストがラジオ放送で読み上げられるという今時の都市伝説を思わせる内容。

    全体的に当時のエロ・グロ・ナンセンスブームを色濃く反映した作品が多く、今読んでも十二分に愉しめるクオリティはある。

    作品毎に編者による詳しい解説が付されているのもマイナー作家のアンソロジーとして非常にありがたい。

    順番タイトル著者説明ページ数
    1序文 恐怖が娯楽だった時代7
    2疾病の脅威高田義一郎15
    3屍蝋荘奇談椎名頼己25
    4亡命せる異人幽霊渡邊洲蔵63
    5火星の人間西田鷹止83
    6角田喜久雄125
    7青銅の燭台十菱愛彦137
    8紅棒で描いた殺人画庄野義信175
    9夢川佐市197
    10殺人と遊戯と小川好子215
    11硝子箱の眼妹尾アキ夫239
    12墓地下の研究所宮里良保251
    13喜多槐三261
    14毒ガスと恋人の眼那珂良二287
    15バビロンの吸血鬼高垣眸299
    16食人植物サラセニア城田シュレーダー327
    17首切術の娘阿部徳蔵353
    18恐怖鬼侫魔倶楽部奇譚米村正一369
    19インデヤンの手小山甲三407
    20早すぎた埋葬横瀬夜雨439
    21死亡放送岩佐東一郎451
    22人の居ないエレヴエーター竹村猛児459