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  • 幽霊の脳科学

    「幽霊の脳科学」古谷博和 ハヤカワ新書 読了。幽霊を脳神経内科的観点から読み解いていくという本。幽霊や怪異が実在するかどうかは現在のところ不明としか言いようがないが、「幽霊を見た」という人間が実在するのは間違いない。

    この本ではある人が「幽霊を見た」と言うとき、果たしてその人は何を見たのかを脳神経医学的立場から合理的に説明できる場合があるということを「遠野物語」等からのケースと関連するであろう脳神経医学の臨床結果を並べながら示していくことで、幽霊や怪異の実在性とは異なる次元で幽霊や怪異が虚構、フィクション、作り話ではなく、神経が作り出したある種の体験である可能性を示す。

    宇宙人によるアブダクション体験を精神医学の立場からアプローチする試みなど、怪異や超常現象を人間の心の問題として捉えるというのは以前からあるけれど、この本の場合、精神医学ではなく脳神経学医学の立場からというのが新しくて面白いところなのかな。

    はじめに

    プロローグ - 不思議な患者さん
     料理をし始める幽霊
     検査の結果
     脳神経疾患と怪談の関係

    第1章 - 寝入りばなや睡眠中に現れる幽霊 ~語りかけてくる、触ってくる~
     ナルコレプシーの主症状──突然の眠気、金縛り、入眠時幻覚
     コラム① ナルコレプシーの病態機序
     「浮遊する首」の幻覚
     コラム② 片頭痛とろくろ首
     金縛りについて
     入眠時幻覚を悪化させる睡眠障害、特に断眠
     落語によく登場する幽霊
     幽霊はなぜ夏の夜によく出てくるのか
     別れを告げにくる幽霊

    第2章 - 道ばたに現れて車に乗り込んでくる幽霊 ~高速道路催眠現象~
     車に乗り込んでくる幽霊の出現機序
     何らかの行動中に体験する幻覚
     山の中の迷い家や桃源郷
     「神隠し」の真実は?
     「一過性全健忘症(TGA)」と「一過性てんかん性健忘症(TEA)」
     「ここはどこです、私はなんでここにいるのですか」
     テレポーテーション体験
     彼らに何が起きたか
     コラム③ 短期記憶と長期記憶

    第3章 - 深夜の闖入者 ~レム睡眠行動異常症・ノンレム睡眠パラソムニア~
     レム睡眠行動異常症(RBD)──夢を見ながら動き出す
     ノンレム睡眠パラソムニア(NRP)──いわゆる夢遊病
     RBDとNRPが連続して起こる?
     落語に出てくるRBD

    第4章 - 子供にだけ見える! ~若年者がよく経験するありありとした幻影~
     なぜ子供に純粋視覚型幻覚が起きやすいのか
     ありありとした幻覚が見える病気1:シャルル・ボネ症候群
     ありありとした幻覚が見える病気2:レビー小体型認知症
     純粋視覚型幻覚はどのような機序で現れるのか
     成人が体験した例 ハードウェアの障害とソフトウェアの障害

    第5章 - 人類は高次脳機能が発達したことで幽霊を見るようになったのか?
     高次脳機能とは
     体外離脱現象の再現
     着衣失行──服と自分の身体の位置関係がわからなくなってしまう
     人類にいつ、どのようにして認知機能の変化が起こったのか
     認知革命
     高次脳機能と幽霊

    エピローグ - 怪談の3分の2は神経学的に説明できる
     地下鉄サリン事件と超常現象
     怪談を分類する
     国による幽霊の違い
     私たちはゴーストバスターではない
     怪談についての疑問を考察する

    おわりに
    謝 辞
    参考文献