備 考：
Kindle Unlimited で読む。
比嘉姉妹シリーズの中編集。
「母と」「あの日の光は今も」「さえづちの眼」の3本を収録。
「母と」は不良少年や登校拒否など社会に巧く適合できない子供たちの厚生施設での怪異を描いたもの。野崎と真琴が謎の怪異に挑む話ではあるがメインは語り手の叙述トリックにあるという変則ホラー。
「あの日の光は今も」は子供時代にUFOを目撃した少年のその後の話で、同じ体験をした友人との証言の齟齬から少年の意外な過去が明らかになるというもの。ラストにホラー的なオチが用意されているけれど必要だったかは疑問。「ずうのめ人形」の来生里穂が探偵役として登場。
「さえづちの眼」は田舎の富豪宅で起きた一人娘が神になったという怪異から始まる事件を描いたもの。因習村ミステリ的な解決をみた後に、超常現象によるオチがつくという構成は「などらぎの首」と同じだが、こちらの方はいろいろ杜撰な印象。前半を家政婦の手記にした意図もよく判らない。
なにげに琴子が単独で登場するのは初めて？ 探偵として謎を解くがあまり霊媒師として活躍した感はない。