ofellabuta

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    「フキダシ論」に続く細馬宏通によるマンガ評論の2冊目。
    今回はマンガと音のついて。
    面白いのは取り上げている作品が「BECK」とか「四月は君の嘘」や「ぼっち・ざ・ろっく!」「ふつうの軽音部」といった所謂音楽漫画ではなく、高野文子の「奥村さんのお茄子」や「はだしのゲン」や赤塚不二夫らの作中に引用された音楽、あるいは「ちいかわ」やヤマシタトモコ、市川春子、江口寿史ならの作品のコマやフキダシの並びから読み取る音楽的なテンポやリズムといったもに着目している点。

    前作の「フキダシ論」もそうだったけど、細馬宏通の漫画の話って評論というより、コマやフキダシ、セリフとそれらの関係や作用を丁寧に読み解くことで漫画ってもっと面白く読むことができるという指南書のような感じがする。

    はじめに

    Ⅰ うたは細部に宿る

     動作のリズム——ナガノ『ちいかわ』
     音楽はいつ終わるか——「ひとりごつ」考

    Ⅱ うたがマンガを生む
     欠片と欠片——市川春子の声と歌  うたとうどん——高野文子『奥村さんのお茄子』論  

    Ⅲ うたの専制
     あふれる牛がやってくる——スズキロク『よりぬきのん記』
     替え歌と節——中沢啓治『はだしのゲン』
     声に出して読む赤塚不二夫——『もーれつア太郎』をめぐって
     赤塚不二夫『レッツラゴン』が鳴らす声

    Ⅳ 調子のよい声、滞る声
     子どもの多声——さくらももこ『ちびまる子ちゃん』
     内言のない会話劇——「日記」以前としての『BUTTER!!!』
     マンガの声、アニメーションの声——大川ぶくぶ『ポプテピピック』

    Ⅴ コマを渡るうた
     こまどりは死に、うたが始まる——魔夜峰央「クック=ロビン音頭」考
     一九七七年夏の一ページ——江口寿史『すすめ!! パイレーツ』序説
     声と動作の分割——クオンタイズするコマ
     ナレーションを操る者たち——語りの逸脱

    Ⅵ 書き文字の声
     らくがきするな——『すすめ!! パイレーツ』の余白に
     panpanyaの主題による四つの変奏
     追想の捕球法——松本大洋『花男』論
     *  反転と転生——大島弓子試論

    あとがき
    引用図版一覧
    初出一覧