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    「文學界」平成三年五月号〜平成四年九月号掲載分を収録。

    著者の岡松和夫の妻の伯父にあたる平井呈一をモデルにしたモデル小説。
    平井呈一の死後、平井呈一と交流のあった文学者から譲り受けた平井呈一の手記を元に書かれたとされる。(「平井呈一 生涯とその作品」荒俣宏編によると、岡松和夫の死後その手記は所在不明とのこと)

    平井呈一の永井荷風との出会いから「四畳半襖の下張」の流出による破門の過程を中心に、戦前から戦後にかけての平井呈一の半生を描いたもの。永井荷風の「断腸亭日乗」や小説「来訪者」に描かれたものとは、平井呈一側の視点から描かれていることもあり「事件」の印象はかなり異なったものとなっている。特に小説である「来訪者」は脚色が酷く、荷風の悪意が露骨であるため本書に書かれた内容が真相に近いのではないかという気がしてしまうのはひいき目か?。ところでこの本の中ではもう一人の当事者である猪場毅らしき人物が出てこないように思うのだが何故かしら?

    この本では平井呈一は白井貞吉に、永井荷風は永江荷葉という風に仮名になっているのだが、出版社などは実名だし、芥川は阿久田川、佐藤春夫は左島晴夫という感じで仮名の意味がほぼない。

    序(「向日葵」改題)
    永訣
    沈淪
    病葉
    木枯
    桜花
    流竄
    水音 跋(「断弦」改題)