備 考:
初版は有精堂出版 1973年。
初版は有精堂出版 1973年。
文芸評論家 前田愛の主に読者を主題にする論文を集めたもの。
近代以降の読者層の大きなエポックはザックリいうと活版印刷の普及→小新聞の流行→円本ブーム→婦人雑誌の普及と大衆小説といった感じか。小新聞の流行が江戸以来の庶民の読者を支えていた訪問形式の貸本屋(大河ドラマの「べらぼう」で耕書堂を開く前の蔦屋重三郎がやっていたやつ)を壊滅させたという話や、プロレタリア文学界と大衆小説関連の話題など面白かった。
あと、収録された中では異色となるが「鴎外の中国小説趣味」の、鴎外による中国小説本の欄外への書き込みのエピソードも面白い。
天保改革における作者と書肆
明治初期戯作出版の動向―近世出版機構の解体
鴎外の中国小説趣味
明治立身出世主義の系譜―『西国立志編』から『帰省』まで
明治初年の読者像
音読から黙読へ―近代読者の成立
大正後期通俗小説の展開―婦人雑誌の読者層
昭和初頭の読者意識―芸術大衆化論の周辺
読者論小史―国民文学論まで
あとがき
初出一覧
解説 飛鳥井雅道