ofellabuta

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  • わたしの人形は良い人形

    傑作の呼び声の高い表題作を含む、80年代に描かれた山岸凉子のホラー作品を4編収録した短編集。

    表題作である「わたしの人形は良い人形」は今読んで怖いかどうかは微妙であるが、因果応報と言い切れない無差別的に引き継がれていく呪いを1986年の時点で描いていることに感心する。(清水崇の「呪怨」は2000年)

    また「八百比丘尼」の(おそらく山岸凉子の読者層の多くが共感するであろう)周囲になじめない主人公が、それ故に悪意のターゲットになるというのも面白い。

    今回の収録作の中で個人的に一番好きなのは「化野の・・・」で、(おそらく自覚はないが既に死んでいると思われる)主人公が朦朧とした意識と記憶の中でひたすら彷徨い続けるだけで、最後まで何も解決されないというのが良い。

    順番 タイトル 著者 説明 ページ数
    1 千引きの石 山岸凉子 7
    2 化野の・・・ 山岸凉子 57
    3 八百比丘尼 山岸凉子 97
    4 わたしの人形は良い人形 山岸凉子 139
    5 無念が噴き出す亀裂を鎮める作家 三宅香帆 解説 254