パスカルは言った。
愛しすぎていないなら、充分に愛していないのだ。
僕は一人で小説を書いている。女の子をふったりもする。バカだなと思う。
でもバカでいい。間違いばかりでいい。
愛し過ぎるというのはそういうことなのだ。そしてそれぐらいで、人を愛するにはちょうどなのだ。
「好き好き大好き超愛してる。」舞城王太郎 より
前回に引き続き、舞城王太郎の2004年発表の小説「好き好き大好き超愛してる。」からの一節。
「パスカルは言った。」のパスカルは言わずと知れた一七世紀フランスの哲学者、ブレーズ・パスカルのことで、彼の名言とされる「情念は過度でなければ美しくありえない。人は愛しすぎないときには十分に愛していないのだ。」を引用してる。
しかし、この名言の出典が良く判らない。名言系のサイトではパスカルの言葉としているが出典の記載がない。おそらく「愛の情念に関する説」が出典だと思うが、
情念は過度でなくして美しくあることはできない。
「愛の情念に関する説 : 他一篇」パスカル / 津田穣訳 角川文庫 より
という文言はあっても、続くのは「人は愛しすぎないときには十分に愛していないのだ。」ではなく「さういふわけで人は世間のうはさを気にしない」となっている。
Links
Amazon : 「好き好き大好き超愛してる。」舞城王太郎 講談社文庫
NDL : 「愛の情念に関する説 : 他一篇」パスカル / 津田穣訳 角川文庫