「クジラがしんだら」江口絵理:文 かわさきしゅんいち:絵 藤原義弘:監修 童心社 2024
自然科学関連の本を書かれているライターの江口絵理さんと、生物画で知られるイラストレーター・絵本作家のかわさきしゅんいちさんがタッグを組んで出した「鯨骨生物群集」をテーマにした絵本。
死んで深海の海底へと沈んでいったマッコウクジラの死骸を餌に群がる深海生物の生態を描いたもので、登場する生物は擬人化はされているものの過剰にエモーショナルな展開や描写はなく、淡々と様々な生物により解体されていく過程を描写していく感じは宮崎学の写真集「死」を思い出させる。とはいえ、宮崎学の写真ほど強烈に「死」を想起させるものではなく、主眼は何もないように思われる深海の世界においてクジラの死骸を中心に形成される生態系、命の連鎖にあって、子供に読ませてトラウマを負わせてしまった!的な目に会うことはなさそう。(それでもセンシティブな題材であることは間違いないが・・・)
しかし、巨大生物の死骸に多数の生命がコロニーを形成するというのはSF的なイメージを喚起させるものがあるなぁ。(というかすでにそういうSFがありそうだ)
こちらは子供が読むとトラウマになりそうな宮崎学の本
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藤原 義弘 < 深海生物多様性研究グループ < JAMSTEC
鯨骨生物群集 - Wikipedia