児島青のマンガ「本なら売るほど」を読んでたら、第2話「コーヒーにこんぺいとう」というエピソードで、物理学者で文学者でもあった寺田寅彦の書いた「好きなもの イチゴ、コーヒー、花、美人、懐手して宇宙見物」という歌が出てきた。寡聞にして知らなかったが寺田寅彦の著名な歌らしい。寺田寅彦というと随筆の名手であり俳句や連歌などでも知られる人だが短歌?も詠んでいたとは知らなかった。
出典が気になったが本には参考文献として岩波書店の1960年度版「寺田寅彦全集」がざっくりと上げられているだけ何巻に収録されているかの記載がない。NDLのオンラインで閲覧できものは歯抜けだし、手元にある新書サイズの1970年版の全集には収録されていない(ざっくり見ただけだから見落としてかもしれないが)。
一応、ChatGTPにお伺いをたててみると
寺田寅彦の短歌「好きなもの 苺 コーヒー 花 美人 懐手して宇宙見物」は、彼の随筆『珈琲哲学序説』に登場します。
なんて回答が返ってきたが、実際に「珈琲哲学序説」を当たってみるもそんな記載はない。
ネットを検索しても原文はローマ字で記載されてるとか、寺田寅彦の葬儀の際の香典返しに記載されていたとかの情報を得ることはできたが直接的な記述は見当たらない。
NDLをあさって、「寺田寅彦画集」中央公論美術出版 1977 に収録されている寺田寅彦の「いちご」という絵(オリジナルは色紙らしいが現物は喪失しており本に収録されているのは複製された図が入った風呂敷からとったもの)にローマ字で、
Sukina mono / Itigo Kohi Hana Bijin / Hutokorode site Utyu Kenbutu / 1934-1-2
という記載されているのを見つけた。
ローマ字で書かれているし、これが初出のような気がするが確たる証拠はない。
Amazon : 「本なら売るほど 1」児島青 HARUTA COMIX 2025 KADOKAWA
MDL : 「寺田寅彦画集」1977 中央公論美術出版
※ 「いちご」の絵は11ページに掲載