「室外機室」 ちょめ 双葉社 2024
「室外機室」というタイトルとカバー絵だけでもうこれは絶対に面白い本だと確信して購入。
室外機という本来、読んで字の如く部屋の外に設置されるべき機器である室外機の部屋という矛盾、また最初と最後に同じ「室」という 文字のくる字面の妙。もうタイトルだけでご飯が喰えそう。
で、実際に読んで見てもその期待を裏切らない出来に満足。
商業出版としては著者初の単行本で、同人誌?で発表済みの短編4つに、書き下ろしの「序」と「〆」という構成。
収録作はどれも面白い。
プロローグにあたる「序」がそのまんま目次になっているのがまず面白い。
「継ぎ穂」は読むたびに内容が変わる不思議な同人誌の話で創作系の活動をしている人にはささりそうなお話。
「21gの封建」は交通事故で死んだ少女が霊になって自分の墓を目指すという話しで浮遊感とラストの拡散していく感じが良い。
「混信」は深夜ラジオを聞いていると現実とは異なる世界の番組が流れてくるという話で70年台あたりの日本SF、小松左京あたりが書いてそうな話。
「地下図書探検譚」は図書館の地下にある不思議な空間に迷い込むという話で、物語自体はありきたりだけどディティールで読ませるタイプの作品。
時々、こういう才能を持った人が突然現れるから面白い。
Links
Amazon : 「室外機室 ちょめ短編集」ちょめ作 双葉社