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水木しげる厳選集 虚

Wed Aug 14 2024

「水木しげる厳選集 虚」水木しげる、佐野史郎(選) ちくま文庫 2024

「水木しげる厳選集 虚」水木しげる、佐野史郎(選) ちくま文庫 2024

ちくま文庫オリジナルの水木しげるアンソロジーの第2弾。選者は俳優の佐野史郎。

前巻のヤマザキマリとはまた違った貸本時代の短編を中心とした如何にも佐野史郎が好きそうなラインナップ。選者によってここまでテイストの違うアンソロジーが出来るというのが水木しげるという漫画家の凄さとうか捉えどころの無さだなと思う。

水木しげるはヤマザキマリが選んだような割とストレートな社会批判をやったりする一方で、ナンセンスや下ネタ、ねずみ男的なエゴや享楽性の肯定だったり、或るいは全てを突き放したような無常感や諦念、虚無を感じさせるものだったり本当に捉えどころがないが、同時にどれを読んでも「水木しげる」という描かれる内容を超えた普遍的な個性がある。

何だかよく判らない、底の知れない怖さ、何を描いてもその背景に立ち上がってくる「水木しげる」という存在自体が水木しげるの面白さ、魅力なのかなぁなどと思う。


目次

約束
魔石
はかない夢
空想石
空のサイフ
鳥かご

河童膏
剣豪とぼたもち
錬金術
宇宙虫

古道具屋の怪
不思議な手帖

群索の中に
不思議町三番地
深夜のバス
目ひとつの神 - 新•春雨物語
丸い輪の世界
笠地蔵

編者解説 佐野史郎


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